お子様は、大人よりもはるかに耳鼻咽喉科領域の疾患にかかりやすく、しかも治りにくかったり、繰り返したりすることも多いものです。
なかでも毎年、風邪のはやる時期になると、とても多くなる耳の病気に急性中耳炎があります。
お子様にとっても特に多い耳の病気ですが、鼻風邪として治療を行っていてもなかなか治らず、実はやはり急性中耳炎に罹患していたという症例も少なくありません。
さらに最近では通年性のアレルギー性疾患(通年性のアレルギー性鼻炎等)が増え、鼻炎が原因となって耳の病気を併発することもあります。
しっかり治療しないと慢性中耳炎や滲出性中耳炎※を起こし、場合によっては難聴の原因になることもありますので、注意が必要です。
安易に自己判断せずに、早めに耳鼻咽喉科医に相談し、きちんと治療を受けることが大切です。
※ 滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん):鼓膜に穿孔(せんこう)が無く、その内側に貯留液が貯まっていて、急性炎症の無い状態、つまり鼓膜の内側に水が貯まった状態で、熱や痛みをともなわない病態。
- ● 中耳炎
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急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎などがあります。お子様に多い耳の病気です。小さな子どもでは耳の痛みを訴えず、症状らしきものが発熱だけということもありますので、耳を気にしている様子が見られるときは、早めに診察を受けさせましょう。
- ● 外耳炎
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耳かきのし過ぎなどにより耳の穴の皮膚が炎症を起こし、痛みやひどい痒みがともないます。耳だれが出て来ることもあり、著しくなると難聴や耳閉塞感をともなう場合も見られます。
- ● 耳垢栓塞
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外耳道に耳垢が詰まった状態です。耳閉感、難聴、耳鳴りなどが起こります。
- ● 難聴
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突発性難聴、騒音性難聴などがあります。耳鳴りが起こることもあります。
突発性難聴は、あるとき突然に耳が聞こえなくなる病気(通常一側)です。しかし、早期に治療を開始すれば、聴力回復の可能性が高いので、早期の治療が大切です。 - ● 耳鳴り
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耳鳴りは、なんらかの聴力障害を持っている方に多く起こります。絶え間なく聞こえるような場合は、耳鼻咽喉科医にご相談ください。
- ● めまい
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めまいは体のバランスが崩れたときに起こる症状で、原因疾患にはさまざまなものがありますが、耳鼻咽喉科領域でよく扱うめまいは、メニエール病です。
目が回って、立っていられない。まわりの景色がぐるぐる回る(回転性めまい)などとともに、耳鳴りや難聴、耳閉感などの症状があれば、メニエール病の疑いがあります。メニエール病は、耳の奥の内耳に内リンパ水腫(内リンパ液の産生と内リンパ嚢における内リンパ液の吸収の不均衡により生じる貯留)という異常が起こり、めまいや耳鳴り・難聴の症状が現れる病気です。吐き気や嘔吐をともなうこともあります。
難聴が変動性で、めまいに先行して中低音部を中心に悪化し、めまいの軽快とともに改善するのが特徴です。年齢的には30~50歳代の働き盛りに多い病気です。ストレスなど、精神的な要因がメニエール病の発病に深く関わっていると考えられています。ある期間をおいて、再びめまいや耳鳴り、難聴発作を繰り返すのが特徴です。ほかに、寝返りや起床時に急に起こる回転性のめまいである良性発作性頭位めまい症や、頸部を回す・ひねる・伸ばすなどの動作によって起こり、一過性ながら、何度も繰り返す傾向のある頸性めまいなどがあります。
- 聞こえにくい、聞こえない
- 耳が痛む
- 耳たぶを引っ張ると痛む
- 耳鳴りがする
- 耳に痒みがある
- めまいがする
- 周囲の音が聞こえにくい
- 耳だれが見られる
- 耳が詰まったような感じがする
- 耳そうじをしたい など